この時代にこんな個性的駅舎が建てられた理由とは?!

青梅街道に沿って敷かれているJR青梅線は立川ー奥多摩間37.2キロの路線で、その途中に御嶽(みたけ)駅はあります。

 

ー東京都・JR青梅線ー(Tokyo・JR Ome Line)

武蔵御嶽神社を模した、入母屋屋根に唐破風を持つ寺社風の造りのこの駅舎は、昭和4年9月の開業時に建てられたものなんです。玉石の埋め込まれた床や、石垣風の腰壁など、見どころ満載の名駅舎です。
それにしてもなぜ、こんな風変わりな駅舎が建てられたのでしょう?

青梅線の前身の青梅鉄道は、沿線から産出される石灰石の輸送のために立川ー青梅間で開業したのが始まりです。その後、日向和田、宮ノ平、二俣尾と延伸しましたが、いずれも石灰石採掘のための延伸で、貨物輸送としての性格が強い路線でした。
そして昭和4年、御嶽駅まで延伸しました。でもこの延伸は石灰石とは関係がなかったのです。では、延伸の目的は何だったのでしょう?
御岳山の山上にある武蔵御嶽神社は、昔から知名度が高く、信者や観光客が多く訪れていたんです。
つまり御嶽駅は、武蔵御嶽神社への下車駅として観光客や参拝客の利用を目的に開業したんです。駅舎が御嶽神社を模しているのはこのためなんです。

それに国鉄と違って、駅舎のデザインは比較的自由だったため、このような個性的な駅舎が造られというわけです。私鉄ならではの商魂のたくましさが感じられますね。
さて、その御嶽神社へは、駅前からバス、ケーブルカー、リフトと乗り継ぎ、さらに徒歩で約1キロ。御嶽駅から1時間から1時間半で武蔵御嶽神社に着きます。付近には飲食店や宿泊施設も多いので、比較的気軽に来ることができますよ。