スイッチバックの跡地にある謎の駅

東京方面から甲府に向かう中央本線は、西に向けてだんだんと山深くなっていきます。
大月市の西の端にあり笹子峠を控える山深い場所にある駅が、笹子(ささご)駅です。鉄道ファンでなくても「笹子トンネル」の手前にある駅といえばピンとくると思います。

ー山梨県・JR中央本線ー(Yamanashi Pref ・JR Chuo Main Line)

開業は明治36年2月。スイッチバックの駅でしたが、昭和41年12月の複線化にともない本線上にホームを移し、スイッチバックは廃止されました。そのためホームは25パーミルの勾配になっています。
さて、実際に笹子駅に降りて、駅前を少し歩いてみると、コンクリートの短いトンネルらしきものがが見えてきます。なんだろう、と思って近づくと、そこには明らかに鉄道のものと思われるホームがあり、おまけに屋根から駅名標まで吊り下げられています。まさかこんなところに駅が?

その駅名標をよくみると「笹子設備訓練センター」と書いてあります。

そうです、ここはその名のとおり鉄道設備の点検などの訓練をする施設「笹子設備トレーニングセンター」です。スイッチバックの跡地を利用して平成21年にこの施設が造られました。
限られた敷地に、トンネル・ホーム・ポイント・鉄橋・踏み切りなどが効率よく配置されています。

トンネルも内部はレンガとコンクリートの2種類で造られていたり、ホームも部分によって形状が違っていたりと、あやゆる状況での保守・点検の実技が行えるようになっています。
私たちが普段利用している鉄道の安全は、こういった施設で行われる訓練によって守られているんですね。