法隆寺をはじめ、東大寺、興福寺、春日大社など多くの世界遺産を有する古都奈良の中心駅となるのが奈良(なら)駅です。
ー奈良県・JR関西本線ー(Nara Pref・JR Kansai Main Line)
現在の駅舎は平成22年3月に完成した高架駅です。
外壁は、和歌で「奈良」にかかる枕詞の「青丹よし」を表現しています。「青」は青緑や深緑、「丹」は朱色のことを指すので、ぴったりのデザインですね。
1階はスーパーや飲食店、2回はコンコース・改札、3階がホームになっています。駅前はバスターミナル、ホテル、コンビニなどがありにぎやかです。
さて、高架化前の旧駅舎は昭和9年建築で、軒は鉄筋コンクリート、屋根は木造という和洋折衷の造りで、屋根に相輪が乗っている寺院風。見た目も重厚で古都の中心にふさわしい立派な駅舎でした。
移動前
ところが、平成9年に交通渋滞の解消と市街地の再開発のため、奈良駅の高架化が決まり、駅舎は工事の支障になるとして取り壊されることになったんです。
それを聞いた地元の建築家や市民は猛反対。歴史的価値があることや市民に親しまれているとして「奈良駅舎を生かす会」を立ち上げ、1万3千人分もの反対署名を集めた結果、解体は撤回され、曳家によって18メートル移動し保存されることになったんです。
移動後
曳家は平成16年5月に行われ、現在の場所に移動したあと整備され、平成21年7月に観光案内所としてオープンしました。駅としての機能は失われましたが、外国人観光客も多く訪れ、移転前と変わらず人々に愛されています。
ちなみにこの旧駅舎、平成19年に近代化産業遺産、平成23年に土木学会選奨土木遺産に指定されているんです。
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