廃止するには惜しすぎる! 太平洋を独り占めできる駅

海岸に沿って走る日高本線のなかでもっとも海に近い駅、それが大狩部(おおかりべ)駅です。

ー北海道・JR日高本線ー(Hokkaido Pref・JR Hidaka Main Line)

国道の下にぽっかりと空いたトンネル、なんとこれが駅の入口なんです。

そのトンネルをくぐると、そこには目の覚めるような光景が!
見渡す限りの太平洋。民家もまったく見えません。駅にやってくる人もほとんどおらず、こんなすごい景色を独り占めできるんです。テレビドラマのロケが行われたこともあるんですよ。
ただし、背後に国道があるので静かではないのが惜しいところです。

駅の開業は昭和33年7月。開業時から無人駅で、駅舎の代わりにコンクリートブロック造りの小さな待合室があります。内部には木製のイスがあるだけで窓もない簡素なものです。
そこから一段下がったところに30メートルの長さの片面ホームがあります。線路から波打ち際まではわずか10メートルほど。

こんなに海に近いのは感動モノではあるのですが、いいことばかりではありません。海が荒れたときは線路が海水をかぶってしまうのです。
日高本線は過去に何度も高波により線路が被害を受け、運休になることが起こっています。

平成27年1月にも高波により駅付近の路盤が流失してしまい、以来、現在も列車の運休が続いています。
日高本線は超赤字路線で路線の廃止が検討されているため、復旧工事をされることもなく曲がったレールが無残な姿をさらしています。
望みは薄いですが、ふたたびこの雄大な海の景色を列車から眺められる日がくるといいですね。