かつての出雲大社参拝の玄関駅 今は国の重要文化財に

出雲大社の参道である神門通りを南に向かい、土産物店や飲食店がなくなり観光客もいなくなったあたりに現れるひときわ威厳をはなつ大きな木造建築、これが旧国鉄大社線の大社(たいしゃ)駅です。

ー島根県・旧国鉄大社線ー(Shimane Pref・The Old National Railway Taisha Line)

駅舎は大正13年2月の建築。通常の駅の設備に加え、1等・2等待合室や貴賓室もある格の高い駅でした。
外観は純和風ですが、これだけ天井が高く柱のない広い空間は和風建築では不可能なため、屋根は西洋のトラス構造で造られています。

大社線は山陰本線の出雲市駅から分岐し大社駅とを結んでいた全長7.5キロの路線で、出雲大社への参詣路線として、東京・名古屋・大阪などから直通列車が運行されるなどたいへんにぎわいました。


現役当時の写真

ところが、参詣客は次第に観光バスや自家用車でやってくるようになって鉄道の利用客は減少の一途をたどり、ついに平成2年4月に廃止されてしまいました。

しかし、これだけの荘厳な駅舎を解体するのは惜しいと、廃止後もそのまま残され、駅名標や発車時刻表も現役当時のままに保存されています。駅舎内のきっぷうりばや観光案内所も当時のまま。ラッチのずらりと並んだ出口は当時の出雲大社への参拝客の多さを物語っています。

この大社駅は、平成16年に国の重要文化財に、平成21年に近代化産業遺産に登録され、出雲観光のスポットのひとつになっています。出雲大社参拝の折には、この大社駅にもぜひお立ち寄りください。