珍しい12角形の駅舎 地元の天然記念物を模しているんです

広島駅から可部線の列車に乗り4駅、約10分で安芸長束(あきながつか)駅に到着します。周辺は広島市中心部から途切れることなく続く住宅密集地です。

ー広島県・JR可部線ー(Hiroshima Pref・JR Kabe Line)

ホームは片面並列の2面2線。以前の島式ホームは端が極端に狭いというおもしろい形状のものでしたが、人と列車の接触事故が発生するなどたいへん危険でした。

そのため新ホームを設置し、平成27年11月に使用開始されて現在のかたちになりました。また、線路の横断にも遮断機が設けられ、安全性が増しています。

さて、安芸長束駅といえば、片流れ屋根の奇抜な駅舎が長年利用者に親しまれてきました。これは戦争で駅舎が破壊された後に再建されたもので、昭和20年代に建築された駅舎に多かったデザインです。


旧駅舎

そんな駅舎が現在のものに改築されたのが平成10年。先代の駅舎に勝るとも劣らない珍しい形の12角形の駅舎になりました。これは、駅から約500メートル北東にある蓮光寺の境内にある蓮華松(れんげまつ)をイメージしているんです。


新駅舎

そういわれれば駅舎の全体の形は、太い幹の周りに枝が張っている松の木のように見えますね。
蓮華松は、それまで各所を転々としてきた蓮光寺が、寛永7年にこの地に移ってきたときに植えられたクロマツで、広島県の天然記念物に指定されています。幹から境内を覆いつくすほど水平に枝が伸びるその樹形の美しさは一見の価値ありですよ。