普通の駅とはちょっと違う いまではとても珍しくなった駅舎

京都駅から北に直線距離で約20キロ、京北と呼ばれる地区に周山(しゅうざん)駅はあります。

ー京都府・JRバス高雄・京北線ー(Kyoto Pref・JR Bus Takao・Keihoku Line)

周山駅とは鉄道ファンでも聞き慣れない駅名かも知れませんが、それもそのはず、この駅は鉄道の駅ではないんです。京都駅からJRバス高雄・京北線に乗って約80分で終点の周山駅に到着します。
国鉄が全国に走らせていた国鉄バスのターミナルには「○○駅」という名前がついていました。そこには鉄道の駅と同じように窓口があり、全国へのきっぷを買うことができたんです。こういうものを「バス駅」または「自動車駅」といい、国鉄時代は全国各地にありました。

その「バス駅」のひとつである周山駅は、昭和12年3月開業。開業時は京鶴(けいかく)線といい、現在の南丹市美山町の鶴ケ岡駅と結ぶ路線でした。
その後、路線の延長と廃止が繰り返され、平成7年4月に路線名が「高雄・京北線」に変更されました。以前はもっと先まで伸びていた運行区間も現在は周山駅が終点になり、その先は民営バスが運行しています。

最盛期に比べると寂しくなってしまいましたが、2階が乗務員の休憩所になっている駅舎、4レーンあるバスのりば、駅舎内の窓口や路線図など、周山駅には国鉄の雰囲気が残っています。

バス駅は、民間に転換されて「○○駅」と名乗らなくなったり、駅舎が改築や撤去されたり、路線が廃止されたりしたものがたいへん多く、現在も残っているものはわずかです。とくに、周山駅のように「○○駅」と名乗り、国鉄当時の駅舎や窓口が残っているバス駅はとても貴重なんですよ。