かつては駅舎だった!? 駅の変遷をずっと見てきたトイレ

仙山線の北仙台─陸前落合間は急勾配が続くため、沿線人口が多いにも関わらず長らく駅は造られませんでしたが、車両性能の向上により勾配でも駅の設置が可能となり、昭和の末期以降に4駅も新設されました。
国見(くにみ)駅もそのうちの駅のひとつで昭和59年2月に開業しました。この駅もやはり25パーミルという急勾配の途中にあります。

ー宮城県・JR仙山線ー(MIyagi Pref・Senzan Line)

開業当初は片面ホームのみの無人駅でしたが、利用客の増加にともない昭和62年に有人化に加えホームを島式に改良しました。
その後、駅周辺に専門学校や大学が開校したため利用者数が急増し、狭い島式ホームで事故が発生するようになったため、平成9年にホーム1本を新設し、現在の片面ホームが2本並列するというかたちになりました。これでホームの混雑は緩和されたのですが、もうひとつ問題が残っていました。

駅舎は線路の南側にあったのですが、専門学校や大学は駅の北側にあるため、学生が踏切を無理に横断するということが跡を絶たず、問題になっていたんです。
そこで、平成14年3月に線路の北側に新しい駅舎を新設し、現在のかたちになったんです。


現駅舎

旧駅舎

周辺の変化や利用状況に応じて、これだけ何度も変化した駅も珍しいですね。
ところで、以前使われていた駅舎はどうなったのでしょう。
現在の駅舎から線路を挟んだ向かい側にトイレがありますが、実はこれが以前の駅舎だったんです。

新駅舎の完成にともない、不要になった旧駅舎をトイレに改造してしまったわけです。なにげないトイレのように見えますが、国見駅の変遷をずっと見守ってきたと思うと愛おしくなりますね。