切妻屋根と片流れ屋根を合体させたようなおもしろい形をした建物、これが本川内(ほんかわち)駅の駅舎です。
ー長崎県・JR長崎本線ー(Nagasaki Pref.・JR Nagasaki Main Line)
この駅は、昭和18年10月に列車同士の行き違いをするための信号場として開業しました。付近の線路の勾配は20パーミル(1000メートル進むと20メートル高くなる)あり、坂に弱かった当時の列車は、そのままでは停車できないことから、線路を分岐させて水平な部分に列車を停車させるというスイッチバック方式を採用しました。その後、昭和27年6月に正式な駅に昇格し、駅舎が造られて一般の人も利用できるようになったのです。
それ以来、スイッチバックの駅として、鉄道ファンに人気があったのですが、車両の性能がアップして勾配上でも発着できるようになったため、スイッチバックは廃止されることになったのです。そして、平成14年3月、勾配上に新しく造られたホームから列車は発着するようになり、スイッチバックは廃止されてしまいました。
同時に駅舎も解体されるのではと心配されたのですが、幸いそんなことはなく、現在も存続しているのです。
さて、そんな駅舎ですが、とても昭和20年代の建築とは思えないほどモダンです。2階建てのように見えますが中は吹き抜けで、高い位置の窓から光が差し込むようになっています。窓枠もアルミサッシではなく木のままで、建築当初から変わらぬたたずまいです。
気になるスイッチバックの痕跡は、使われなくなったホームや線路の大部分も残っていて、レトロモダンな駅舎とともに訪れる鉄道ファンに喜ばれています。
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